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2011年02月06日

朝貢は、当時の「安全保障条約」

 聖徳太子の時代、日本は、中国に対し朝貢を行っている。授業で「遣隋使」や「遣唐使」という名が出てきたことを記憶している人もいると思うが、それが、朝貢だ。
 朝貢は、差し出す側(進貢)と受ける側(入貢)では、原則、受ける側の方が大きい国だ。日本は、支那王朝に朝貢した時代があれば、渤海や朝鮮から朝貢を受けたこともある。
 従来、朝貢とは、支那大陸の王朝(主として漢民族)の中華思想による外交だ。易姓革命による支那皇帝は天子であり、その徳に周辺国の君主が慕って貢物をし、それに恩賜を与えるというもの。
 表面的には、いかにも「中華」で、鼻持ちならないが、「皇帝の徳」は、体裁でもあり、実の部分は、入貢により、貢物以上の回賜をして、安全の担保とした。したがって、朝貢関係を持とうとしない国は、攻めてくる可能性があると考え、何とか朝貢させようとした。

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壱万円札に使用された聖徳太子像

 つまり、進貢側にとっては、支那皇帝を認めながらも、足元をみながら有利な回賜へ運ぶことも可能であった。聖徳太子は、隋皇帝、煬帝に対し、自らも「天子」と名乗り、煬帝と対等であることを示して、朝貢を行った。当然、周辺国で、そのような態度をとる者はおらず、煬帝は激怒したものの、日本に対し敵対することができなかった。
 明の時代、女真(後の清)は、明と断交状態にあったことから朝貢ができず、自国物産品は朝鮮を通して明へ入れている。朝貢は貿易材料でもあるわけだ。
 このように、力を持っている国は、朝貢を上手く利用していることが分る。

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暴君煬帝だったが、結局、聖徳太子に我慢した。

 ただ、これが、支那皇帝により「王」の承認を受け、臣下となる「冊封」では、朝貢もかなりの違いが出てくる。 進貢の判断を独自で決められる国(たとえば日本)の朝貢は、支那皇帝が、ひとりで一番のつもりでいるだけだが、冊封されたとなれば、朝貢は義務付けられた「事大主義」朝貢となる。違う言い方をすれば属国だ。日本が南北朝の時代、あろうことか足利義満が、明から「日本国王」として冊封された。もっともこれも、明に対し有利な取引を引き出す外交手段だったと、いえないこともない。義満の本意が、何処にあったかは分らないが、結果的には、足利家の対明貿易利権が主体で、日本が、属国になるものではなかった。
 これが、戦国時代を経て、文禄の役(倭乱=朝鮮出兵)講和において、明皇帝が豊臣秀吉に「日本国王」の称号を与え、冊封しようとしたが、秀吉は激怒し、再度、兵を朝鮮半島へ送った。足利義満より秀吉の方が、外交姿勢は格上だったということだ。もっとも、明を後ろ盾にしようとした義満に対し、明を征服してしまおうとする秀吉とでは、はじめから、立ち居地が違うのは明白だが。

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冊封された足利義満

 明は、西洋の大航海時代以前に、インド洋を渡りケニアまで到達する大航海を成して、その成果で東南アジア諸国などと朝貢関係を増やした。しかし、このときに欧州まで行き、西洋の契約文化に触れることが出来れば、西洋との付き合い方を知り、後の歴史も大きく変わったかもしれない。
明から清となり、長い歳月を経て、朝貢が、冊封国だけになっていく状況にありながらも、清は、朝貢外交の姿勢を変えなかった。しかし、儒教かつ中華思想から派生した安全保障の朝貢外交は、契約文化の西洋では通用しない。西欧列強が、アジア・アフリカを植民地化していく時代に、朝貢感覚で外交を行おうとした清に、軍事力を背景にした外交で条約を結ぶ列強が群がった。その危機感から、欧米列強に対抗すべく、近代化を果たした日本との戦争に清は敗れ、朝鮮は独立し、ここに朝貢も冊封も崩壊した。

 さて、民主党政権になった平成21年。小沢一郎民主党幹事長(当時)が、140余名の議員を連れて胡錦濤主席を訪ねた。この後、習近平中副主席来日にあたり、1ヶ月ルールを無視した、天皇陛下との会談を申し入れる中国政府は、小沢に実現の要請を行い、小沢は、それに応じた。
 小沢が140余名の国会議員を連れて胡錦濤詣でをしたことを「朝貢外交」と表現された。貢物は、「友愛の鳩山外交」だったが、では、その回賜が、習近平来日で、尚且つ、強引な天皇陛下との会談要求とは、まるで属国扱いである。
台頭する中国に太いパイプを持つことを内外に見せつけようとした小沢は、「朝貢外交」というより「冊封」、といった方が正確だ。冊封使、習近平に権威の任命を求める小沢一郎という図式だ。なお、その後、鳩山辞任、民主党内紛等々で幹事長から転落した小沢だが、習近平来日における不敬なる行動は、未だ、悪びれず、持論を述べる記事が文春に載った。

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AFPBB News エジプト情報

タグ:朝貢
posted by 渡邊 at 23:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史を眺めて
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